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いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

第2章:地球温暖化・・・・その1



第2章 地球温暖化・・・・その1



■温暖化はすでに始まっている



◆世界各地での異変



1990年代から、地球温暖化の影響と見られる異変が目立って
きています。

1998年は新聞などで「最も暑い夏」と騒がれました。

1月から7月の全地球の平均温度が、当時としては過去最高
だった1995年と比べても0.26度も高かったのです。

今「0.26度も高かった」と書きましたが、

「0.26度なんて大したことないじゃないか」

と思われるかも知れませんね。


でも、地球全体の気温をそれだけ上げるには、とてつもなく
大きな熱量が必要なのです。


それ以外にも多くの気象異変が起こっています。

1997年に北極圏のカナダは平年より7.5度も高い異常高温、
シベリアは5度も低い異常低温といった具合に、地球規模で
異変が起こっているのです。

こういった気候異変は実は地球温暖化と関係があるのでは、
と言われています。


さらに最近の情報として、

1)冬の間氷に閉ざされた北極海の海が50年前にくらべて
  2倍に拡大していることが人工衛星の観測でわかった。

2)ヒマラヤの氷河も90年代に入って急速に縮小している。

3)ウィーン大の研究者が標高3000メートルのアルプス
  26カ所で過去90年間の記録を調べたら、植物は10
  年間に4メートルほど高い方へ移動した。

4)かつて九州が北限だったチョウのナガサキアゲハは昨年、
  関東地方でも見られるようになった。

5)カメムシやガなど本来南にすむ種類が関東で目撃された、


など、地球温暖化の加速によるものと思われる異変が報告
されています。



◆世界の平均気温の上昇が顕著に 



この傾向は21世紀に入っても続いています。



気象庁によると、2001年の世界の平均気温は平年比プラス
0.42度で、観測史上3位(当時)でした。

その一方で、シベリアなど地域によっては異常な寒さを記録
しました。

この年は、猛暑と厳寒に見舞われた最も気候変動の激しい年で、

アフガニスタンなど中央アジアでは干ばつの被害が一層増大
しているのです。


WMO(世界気象機関)によると、2001年は地球温暖化の
傾向がはっきり表れており、とくに暑かったのはカナダ、中央
アジア、欧州でした。

月ごとの気候変動も激しく、英国で10月は記録のある330
年間の中で最も暑い月となりました。


寒暖の差も激しく、米国カリフォルニア州のデスバレーで
夏に57度を記録する一方で、北極で冬にマイナス87度、
シベリア中央、南部では1月にマイナス60度の日が2週間
続きました。



また世界気象機関(WMO)は、2004年の地球の平均気温が
平均を0.44度上回り、1861年の統計開始以来、2003年、
2002年、1998年に次いで4番目に暑い年であったと発表
しました。

さらに、同年の10月が観測史上一番暑い10月であったこと
は、地球温暖化の現象が進んでいることを示しているとして
います。



気温の上昇は、急速な雪解け現象をもたらします。

シベリアは春先の高温で各地の河川が氾濫し、ポーランドや
インドネシアでも集中豪雨による被害が続出しました。

アフガニスタンやパキスタンなどアジア中南部では干ばつが
続き、降雨量は平均の5割強にとどまりました。


WMOは異常な気候変動の主な原因は「人間の活動」として、
二酸化炭素の排出による温室効果が進んでいることに警鐘を
鳴らしています。


温暖化の本質が「気候変動」ひいては「気象変化」であり、
異常気象の頻発化であることを改めて実感させられます。

温暖化という用語は、あくまでも「地球の平均気温の上昇」を
表すときにのみ使うべきです。

温暖化という語感そのものが、温暖化防止に対する危機感を
弱めてしまっているように思います。



◆集中豪雨の頻度が増加   



地球温暖化による異常気候は気温だけではありません。

雨にも影響を与えているのです。


日本気象協会は、

「集中豪雨の頻度がこの100年間で頻度だけでなく規模も
拡大し、最大級の豪雨では戦後は戦前に比べて1割以上雨量
が増えていた。夕立や熱帯地方のスコールのような短期集中
型が増えたためとみられ、地球温暖化が影響している可能性
がある」

と発表しました。


豪雨の増加は米国や豪州、アジア各地でも報告されています。

気象庁などによるシミュレーションでは、温暖化が進めば雨の
強度が強まる一方、降る面積は減少するなど、大雨は局地化
して激化すると予想しています。

「地上付近の空気が暖められて上昇気流となり、雷雲を発生
させる傾向が強まるため」と考えられています。



◆温暖化で国内の降水パターンが変化



国内の降水量は関東や九州で増加し、北日本の日本海側から
近畿地方で減少していることが気象庁の調べでわかっています。

過去40年間の雨量を分析した結果で、地球温暖化や大気の
流れの変化が影響しているとみられています。


同庁は、全国105の気象台や測候所の1961年から2000年
までの年間降水量の推移から、各地の増減傾向(トレンド)を
まとめました。

その結果、増加傾向が最も顕著なのが埼玉県熊谷市で、毎年
7.6ミリずつ増える傾向がわかりました。

宇都宮市6.9ミリ、前橋市5.1ミリ、東京都千代田区4.8
ミリなど関東地方は軒並み増加を示していました。

九州地方も増加傾向で、長崎県平戸市6.4ミリ、熊本県人吉市
5.4ミリなど。

増加の地域は、大雨の頻度も多くなっているということです。


一方、減少傾向で最も顕著だったのが福井県敦賀市で毎年19
ミリずつ減る傾向がわかりました。

新潟県上越市は11.2ミリ、福井市10.9ミリ、兵庫県姫路市
7.4ミリの減少でした。

日本全体の平均降水量は、この100年(1898~1997年)
で、6.6%減っています。

地球温暖化による暖冬の影響が一因で、雪が減って冬場の
降水量を少なくしていると見られています。



◆世界の自然災害の総被害額が今後さらに大きくなる         



米国のシンクタンク、ワールドウオッチ研究所は、

「90年代の世界の自然災害は総被害額が70年代の5倍、50
年代の15倍になるなど規模が大きくなっており、地球温暖化に
よって、今後さらにひどくなる」

と発表しています。


同研究所は、

「90年代の台風や洪水、山火事などの自然災害の被害額は
6080億ドル(約73兆円)で、50年代の15倍に達した。
多くの死者を出し、国際援助の対象となった大災害の数も、50
年代の20回が、70年代の47回、90年代の86回と増加した。
海岸域や都市への人口集中も一因ですが、日本でも多い湿地の
埋め立てや河川の護岸のコンクリート化など、自然の改変も要因
になっている」

としています。


また、85年から99年までの間に災害で死亡した56万人の
うち、96%が発展途上国の住民でした。

逆に保険によってカバーされた災害被害の92%は先進国である
など、大災害の多発は南北間の不公平を拡大させています。


これらの大災害が、地球温暖化の直接的な影響によるものとは
言えませんが、同研究所のジャネット・アボラモビッツ上席
研究員は

「温暖化による海面上昇や台風や干ばつの多発によって、この
ままでは今世紀の災害はさらに大きくなるだろう」

と話しています。



◆都市部で「ヒートアイランド現象」が進行



建設省(当時)が、東京、名古屋、仙台の3都市に設置されている
アメダスのデータなどを使い、1980年から2000年の間の
7~9月に30度を超えた延べ時間数を調べたところ、東京では
1980年の168時間が昨年は357時間に、名古屋でも227
時間が434時間にそれぞれ倍増していました。

仙台では、31時間から90時間へと3倍に増えていたということ
です。

さらに、東京では7~9月の1日平均気温も、この20年間に
1.2度高くなっていることが分かりました。


また中小規模の8都市で、1日の最低気温が25度以上になる
熱帯夜の日数を調べたところ、いずれも増加傾向で、秋田、彦根
などでは90年代に入って急増していました。

ヒートアイランド現象が地方にも広がっていることがうかがえ
ます。


一方、東京では、7~8月の冷房機などからの二酸化炭素排出量
は20年前に比べて30万トン増えています。

この量は35万世帯が3カ月間に出す二酸化炭素排出量に匹敵
します。



◆ヒートアイランド現象による集中豪雨の増加



ここ数年わが国では、梅雨の終わりから8月にかけて、局地的な
集中豪雨が東京を中心に突然発生しています。

政府の中央防災会議も「新しいタイプの災害」として、対策を
検討しはじめています。


一般的に集中豪雨は、梅雨前線など強い前線がある時や台風の
襲来時に起こるとされています。

ところが、最近の豪雨は前線も台風もないのに発生する新しい
タイプで、予想が難しくなっています。


典型的な例が、1999年7月21日の集中豪雨です。

この日、都内は正午ごろまで晴れていたものの、午後に雷雲が
発生、練馬区で1時間に131ミリを記録する大雨となりました。

千代田区で1時間に82.5ミリの観測史上2番目の激しい雨
となった昨年7月4日午後の豪雨や、梅雨の晴れ間の今年6月
7日午後、23区を中心に降った激しい雷雨なども、東京特有の
局地的な雨と見られます。


東京都立大学の三上教授は「豪雨の直前に都心の気温が急上昇し、
同時に東京湾と鹿島灘から強い風が吹き込むケースが目立った。
2方向の海上の湿った空気が衝突すると激しい上昇気流が起き、
局地的な豪雨が発生する」と説明し、都市部の気温が郊外に
比べて高くなる「ヒートアイランド現象」にその原因を求めて
います。


しかし、気象庁気象研究所は、

「ヒートアイランドは、積雲の発達を促す副次的な因子に過ぎ
ない。集中豪雨の頻度を高めそうだということはいえるかもしれ
ないが、日射による加熱、上空の寒気や風の状態などの影響や
地球温暖化要因も無視できない」

と話しています。




◆21世紀にはヒートアイランド現象で風水害が多発か     



2001年版の「防災白書」では、地球温暖化や都市部が高温
になるヒートアイランド現象によって21世紀には風水害が多発
する、と警鐘を鳴らしています。


地球温暖化の進行で自然災害が増えるという予測は、国連環境
計画(UNEP)からも出されていますが、日本政府が同じ認識
を示したのは初めてです。


白書の中で、「ヒートアイランド現象」も進んで、「雷や集中
豪雨、ひょうなど都市特有の気象パターンが現れる」と指摘し、
「現在の都市構造では対応できない」として対策を求めています。


台風や梅雨前線などの影響で短時間に猛烈な雨が降る豪雨は、
日本ではこの100年で増える傾向にあることが、気象研究所
の分析で明らかになっています。


年間の総降水量は減っているものの、局地的な豪雨の割合は
逆に全国的に増加。特に夏の気圧配置に、強い雨の降りやすい
パターンが多くなってきているとしています。

同研究所は、全国46地点で1898~2003年の降水量の
変化を調査しました。

第2次世界大戦前は4時間単位で観測を行っていたため、それ
に合わせて4時間当たりの降水量を比較したところ、この106
年間で年間降水量は約8%減少していました。 


その一方で、「最も激しい雨」(30ミリ以上~60ミリ以上)
は約30%増加し、集中的に強く降る雨が増える傾向にあること
が分かりました。

2~3ミリ以下の弱い雨の割合は、逆に約20%減っていました。

強い雨は、冬より夏に、昼間より明け方に、北日本より九州・四国
で、より大きく増える傾向にありました。


最近、1時間に100ミリを超えるような集中豪雨が珍しくなく
なってきました。

しかし、多くの自治体の集排水設備は同50ミリ前後を想定した
造りとなっています。

にもかかわらず、日本では、災害時の危険区域や避難ルートなど
を示す「ハザードマップ」を作製済みの自治体が、洪水・冠水
対応で20%にすぎないのが現状です。



■地球温暖化のしくみ



では、こうした異常気象や地球の温暖化は、どのようにして
起こっているのでしょうか。


地球温暖化とは、

「二酸化炭素などの温室効果ガスが大気中で増加することで
温室効果が高まり、地球の平均気温が上昇していく現象」

のことです。


温室のように、地球全体がビニールの代わりにガスでできた
膜によって覆われ、そこに熱がこもり温度が上昇する現象と
思ってください。


この温室効果を起こさせる気体を「温室効果ガス」と呼んで
います。

温室効果ガスの代表的なものが二酸化炭素(炭酸ガス)です。


温室効果によって気温が上がる仕組みは、次の通りです。


二酸化炭素は、太陽の光を通します。

この太陽の光によって地面が温められて、その上の空気が
温められます。

そのとき、本来であれば夜の間に地球の外に熱は逃げていき
ますが、二酸化炭素があるとそこに熱をためてしまうのです。


ここで「二酸化炭素濃度と地球の平均気温が正比例の関係
にある」ことが分かっています。 

つまり、二酸化炭素の濃度が高いほど地球の温度は上がり、
濃度が低いほど地球の温度は下がることになります。


しかし、気温が上昇すると言いっても、地球全体が同じよう
に熱くなるわけではありません。

寒くなるところもあれば、干ばつや豪雨に見舞われるところ
もあります。


地球温暖化は世界的には『気候変動』と呼ばれていて、酷暑
と暖冬、干ばつと集中豪雨などの異常気象が頻繁に現れなが
ら、地球の平均気温が次第に上昇していくことを言うのです。


だから地球温暖化は

「シベリヤやアラスカが暖かくなって住みやすくなる」

と言うような単純な話ではないのです。


ここで異常気象とは、一般に30年に1回起こるか起こらない
ような出来事を言いますが、これらが頻繁に発生することで、
異常気象という言葉そのものが死語となってしまうかも知れ
ません。



■温暖化の影響




◆熱帯低気圧が巨大化



温暖化で地球の気温が上昇すると、台風やハリケーンなど熱帯低気圧
が巨大化すると予想されています。

温暖化が進むと海水表面温度が高くなって、熱帯低気圧にエネルギー
がどんどん補給されるからです。

そして日本沿岸など、比較的緯度が高いところで水温が高くなるので、
熱帯低気圧の勢力が非常に強いまま沿岸地帯に上陸する可能性が強く
なると考えられます。


現在の熱帯低気圧は、はるか南方海上では猛烈に発達していたとして
も、上陸する頃にはかなり勢力が衰えています。

これは、沿岸部に近づくにつれて海水温度が低くなり、水蒸気(エネ
ルギー)の補給が少なくなるからです。


しかし、温暖化が進めば沿岸部に来てもどんどんエネルギーが補給
されることになり、猛烈な勢力を保ったまま上陸する可能性が強く
なるのです。


温暖化で海面が上昇するうえに、熱帯低気圧が巨大になり、しかも
勢力が衰えないとしたら、沿岸地域は防災上で大きなリスクを負う
ことになります。


ただし長期的に見た場合、赤道付近と日本近海との温度差が小さく
なり、台風の発生が少なくなることも予想されます。

場合によっては、台風そのものが発生しなくなる可能性もあると思
われます。




◆南極の氷が崩壊



この100年間で南極付近の気温が2.5℃以上上昇しているため、
南極大陸では大規模な氷の崩壊が始まっています。

南極の面積は日本の約40倍です。そこに平均2500メートル、
最大4200メートルの厚さの氷が乗っています。

しかもその85%が陸上にあって、全部が融けてしまうと海面が
60メートルも上昇すると言われています。


1995年には、ラルセン棚氷の一部が崩壊して、淡路島の5倍と
いう巨大な氷山となって外洋に向かって漂流を始めました。

また98年の秋になって、147キロメートル×48キロメートル
という宮城県と同じくらいの大きさの氷山が生まれています。

このほかにも、南極周辺で多くの巨大氷山が流出しています。


さらに米雪氷データセンター(コロラド州)などの研究グループは、
昨年(2004年)9月、

「南極半島にある氷河が海へ向けて移動する速度が、2000年と
比べ最大で8倍になっている」

ことを人工衛星などを使った観測で発見しました。


南極半島では2002年、陸地から海に向けて張り出した巨大な氷の
板である棚氷(たなごおり)が大崩壊を起こし、鳥取県の面積に近い
約3250平方キロもの大きさの氷が失われました。


同センターのテッド・スキャンボス博士は

「氷河を陸側に押しとどめるブレーキ役だった棚氷がなくなったため、
氷河が海に流れ込む速度が急激に上がったとみられる」

と述べています。

実際、氷河の厚さは崩壊後半年で約40メートルも減っていたのです。



温暖化による海面上昇は、氷の溶解よりも温度上昇で海水が膨張する
影響の方が大きいと考えられ、もともと海に浮かんだ棚氷が崩壊して
も海面はそれほど上昇することはないとされてきました。

しかし、崩壊をきっかけに陸の氷が大量に海に流れ込む恐れが強いと
なれば、話は全く変わってきます。


棚氷の崩壊は2002年以降も南極の一部で続いており、スキャンボス
博士らは

「より巨大な氷河がある地区で棚氷の崩壊が起きないかが懸念される」

と指摘しています。


なお南極大陸の棚氷の崩壊については、非常に重要な問題ですので、
後日、改めて取り上げたいと思います。



◆海面上昇で水没する国も




温暖化によって海水の温度が上昇すると、水自体の体積が膨張し、
海水面が上昇します。

それと同時に南極大陸や山の上にあった氷が融けたり、氷山として
流れ出したりすることでも海面は上昇します。


海面が50センチ上昇するだけでも、南太平洋の島々やバングラ
デシュなどの国々を中心に、世界人口の10%もの人たちが住む
ところがなくなり、ほかの土地に移らなければならなくなると
言われています。


1メートル上昇の場合はもっと大変です。

IPCC※は、マーシャル諸島の一部では80%、バングラデシュ
では18%の土地が海中に沈むとみています。

また、モルジブという国は国土の大部分が海抜1メートル以下なの
で、海面上昇で国自体がなくなってしまうとも考えられます。


このため、沿岸地域で高潮の被害を受けやすい人口は、世界全体
で現在の4600万人から1億1800万人に増加すると予測さ
れています。


ただし、これは人口の増加を考えていない数字です。

実際には、もっと多くの人が高潮の恐怖に怯えることになるで
しょう。



※IPCCとは、「気候変動に関する政府間パネル」のことで、
1988年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)
が共同設立した国連組織のひとつ。
1000名を超える世界の科学者が集まり、90年に地球温暖化を
予測、95年には『地球温暖化第二次レポート』を、2001年に
は『同三次レポート』を発表した。




◆日本でも海面上昇は深刻な問題



日本も人ごとではありません。


海面が上昇すれば、護岸や防波堤が壊れやすくなったり、高潮や
高波の被害を受けやすくなったりします。

砂浜が浸食され、橋の下は船の航行が難しくなるほか、海岸沿い
の道路は冠水しやすくなると予想されます。


日本では、人口や産業が海べりに集中しているため影響はかなり
大きくなります。

環境省は、

「海面が1メートル上昇した場合、満潮時に海面以下になる
面積は2339平方キロに及び、居住者は410万人、資産で
109兆円に上る、と試算しています。


また満潮時に高潮や津波が来襲すると、さらに多くの人や資産が
危険にさらされる可能性があります。

これに伴い、外洋に面した堤防で2.8メートル、内湾の岸壁に
おいては3.5メートルのかさ上げが必要で、対策費用は計11兆
5000億円になるということです。

そして海水面が1メートル上昇すると、21世紀末には日本国内の
砂浜のおよそ9割が消滅すると言っています。

岡山、沖縄、秋田、宮城、東京、石川、福井、京都、大阪、和歌山、
島根、山口の12都府県で、砂浜がほぼ100%消えてしまうという
ことです。


砂浜の消滅は、自然の海水浄化作用(海水の濾過と微生物による
汚染物質の分解)も失われることを意味するのです。


独立行政法人である港湾空港技術研究所が神奈川県横須賀市で
潮位を観測したところ、99年までの約40年間で、年平均で
約2ミリずつ上昇していたことが分かっています。



◆生態系が温度の変化についていけない 



温暖化による温度変化を簡単に表現すれば、

「100年後に、いまいるところが寒帯ならば亜寒帯に、温帯ならば
亜熱帯に、亜熱帯なら熱帯になる」

ということです。

具体的に言うと、2~4℃の気温上昇です。


温帯には「温帯という気候の中で適応して進化してきた生態系」が
できあがっています。

この温度上昇が、氷河期から温暖期への移行のように何千年という
時間をかけて変化するのであれば、生態系は十分対応していくこと
ができます。

しかし、この温度上昇がわずか100年で起ころうとしているのです。


生態系はこれほどの急激な変化にはついていけません。




◆日本も他人事ではない



日本が熱帯並みの気候になり、ヤシやハイビスカスなどの熱帯性の
植物が植生する。

・・・・なんてことは有り得ないのです。


熱帯性の植物には熱帯の土(腐植土・腐葉土)が必要です。

ところが温度が高いと、土ができる前に落ち葉や動物の死骸が分解
してしまうのです。

熱帯性の気候では、1センチの土ができるのに数百年もかかって
しまうのです。



当然、今ある温帯の植生にも深刻な影響を与えることになります。


急激な温暖化によって、地表で活動している微生物やバクテリアが
地表温度の急上昇に適応できずに死んでしまうのです。

するとミミズや昆虫がエサがなくなって飢え死にします。

その結果、土が死に、森林が消え、動物が絶滅します。



これらのことは、2℃程度の温度上昇であっても起こると予想され
ています。

特に森林地帯への影響が深刻で、IPCCは「温暖化による気温
上昇によって、今後100年間で等温線が150~550キロメートル
高緯度側に移動し、地球の全森林面積の3分の1で植生が何らかの
変化を受ける。また、病害虫・火災の増加などによる森林損壊で、
より大量の二酸化炭素が放出される」と予測しています。

そして「そうなれば、地球上の森林のうち3分の1が適応できずに
枯れたり、育ちが悪くなったりする。育ちが悪くなると抵抗力が
なくなるので木食い虫などにやられてしまう。木が枯れると二酸化
炭素を吸収しなくなるばかりか、腐ったり、燃えたりするときに
二酸化炭素を排出してしまう」と言っています。



◆食糧生産が減少する



IPCCは、温暖化の影響で「コメの収穫量が中国の場合
で、現在より78%も減少する」と予測しています。

また、日本の国立環境研究所も次の図のように、食糧生産
が減少するとしています。

中国をはじめとするアジア地域では、温暖化と同時に人口
爆発も起こっています。

このままでは、アジアは食糧問題がますます深刻になって、
大規模な飢餓や難民問題に襲われることになるでしょう。


アジアだけでなく、世界中で食糧が不足すると予想されて
います。


日本の農林水産省は、「早ければ2030年頃に、小麦や
稲など主要穀物の栽培に適した土地が世界で半減する」と
いう予測を発表しました。


たとえば、世界最大の穀倉地帯である北アメリカでは、現在
の穀倉地帯が打撃を受ける代わりに、もっと北にある地域が
小麦栽培に適した気象条件になるはずでした。


しかし、この地域の土壌は養分が少なくて酸性が強くて、
小麦の生産に向かないことが分かりました。

そして、その辺りには大森林地帯が広がっていて、この森林
を大量に伐採しなければ、新たに耕地を造ることはできない
のです。

また「ヨーロッパでは小麦やトウモロコシの適地が消滅する」
とまで言われています。


牛や豚などの家畜のエサはほとんど穀物です。

穀物がなくなれば、牛肉も豚肉も食べられなくなることは
言うまでもありません。




◆途上国のうち40カ国が最大25%の食糧減産  




国際応用システム分析研究所(IIASA)は、将来の地球
温暖化の結果、発展途上国のうち40カ国が最大25%の
食糧減産に直面すると予測しています。


それによると、温暖化に伴う気温上昇や降水量の変化が農地
の生産性などに影響を与えるのが原因としています。

そして地域によっては、害虫や農作物の病気の広がりを招い
たり、乾燥が進んで水資源が減少、状況をさらに悪化させる
恐れもあるとしています。


減産が見込まれる途上国はインド、バングラデシュ、ブラジ
ルのほか、サハラ以南の多くのアフリカ諸国などです。

40カ国の人口は計約20億人ですが、うち約4億5千万人
は既に栄養不良状態にあり、食糧減産の影響は深刻だとして
います。




◆熱帯地域の穀物生産量が最大3分の1減少



農業研究機関のネットワークである国際農業研究協議グルー
プ(CGAIR)は、

「今世紀中に、熱帯地域の穀物の生産量が最大3分の1も
減少、コーヒーや茶の生産も困難になる」

との予測を発表しました。

そして、

「何十億人もの発展途上国の人々が飢え、新たな農地開発
によって環境破壊も深刻化する」

と警告しています。


CGAIRの研究機関の一つ、国際稲研究所(フィリピン)
は、

「稲や麦、トウモロコシなどの作物は、開花期の温度上昇に
弱く、地球温暖化によって開花や花粉が減少。今後50年間
で熱帯域の収量は30%以上も低下する」

としています。


平均気温が2度上昇することによって、茶やコーヒーの生産
量が急激に減少することも判明しました。

途上国にとって貴重な収入源になっているこれらの作物の
生産量を保つためには、現在は森林になっている地域を開拓
しなければならず、新たな環境破壊を招く可能性が高いと
いえます。



◆温暖化で水産資源も減少する



実は、温暖化で魚や貝などの水産資源も危ないのです。


すでにその兆候が現れています。


たとえば、アメリカのカリフォルニア州沖の太平洋で最近
約40年間に、海水の温度上昇が引き金となってプランク
トンの数が80%も減っていたことが分かりました。


付近の海域を調べてみると、プランクトンが減っている所
の水温が、1.1~1.7℃高くなっていました。

水温の上昇は、海面から深さ180メートルのところまで
起きていて、海面に近いほど温度が高くなっていたのです。


なぜ水温が上がるとプランクトンが減るかというと、海底
から湧き上がってくる栄養分豊富な水が海面まで昇ってこれ
なくなるからです。

この水は比較的温度が低いのですが、通常の海面温度で
あれば海面付近まで昇ってきて、プランクトンにミネラルなど
栄養分を補給します。

しかし、海面の温度が高くなると海底水が上昇できなくなり、
プランクトンの栄養が絶たれてしまうことになるのです。


こうして栄養を絶たれたプランクトンが減少すると、イワシ
やサバなどのエサが不足し、飢えて死にます。

すると今度は、ハマチやマグロなどの大型魚のエサがなくなる
といった具合に、食物連鎖を通じて水産資源も大きな影響を
受けてしまうことになるのです。

日本近海でも、最近イワシが激減していますが、これも海水
温度の上昇による影響と見られています。




◆北太平洋東部では、大型のセミクジラが数十頭程度にまで
  減少  



北太平洋の東部に生息する大型のセミクジラが、過去に行わ
れた捕鯨の影響で個体数が数十頭程度にまで減少していま
した。


米海洋大気局(NOAA)は、

「地球温暖化によるとみられる近年の海水温の上昇傾向など
の影響もあって、種の存続が極めて危うくなっている」

と発表しました。


セミクジラは体長15メートル、体重は80トンにもなる大型
の鯨です。

かつては世界中の海にいましたが、捕鯨によって1960年代
までにほとんどみられなくなりました。

これまで知られているセミクジラが、深い海に潜ってプランク
トンを食べていたのに対し、この地域のセミクジラは水深が
50~80メートルという比較的浅い海でえさを取っていました。

NOAAは、「鯨にとって重要なこの海域は、海水温度の変動
の影響を受けやすい。最近は海水温が上昇傾向にあり、種の
存続が危ぶまれる」と指摘しています。


鯨が絶滅したのは「捕鯨のしすぎだ」とか、「いや捕鯨しない
せいで鯨が増えすぎてエサ(プランクトン)がなくなったのだ」
という議論があります。


しかし、温暖化による海水温度の上昇やオゾン層破壊によって
「有害紫外線が増加し、プランクトンが激減する」など、
地球規模の環境破壊も大きく影響しているのです。

「AかBかの(政治的)議論をしている場合ではない」ことに、
注意してください。


様々な要因が絡み合っているのです。



◆世界中で健康被害が増加



地球温暖化で、健康への被害が増えると心配されています。

IPCCは、

「マラリア患者が5000~6000万件も増加する。また、
気温上昇・洪水増加の影響としてコレラなどの感染症も増加
する恐れがある」

と予測しています。


世界保健機関(WHO)によると、現在でも南アジア、アフ
リカ、中南米を中心に年間3~5億人がマラリアに感染し、
150万人~270万人が死亡しています。

日本でも健康被害が予想されています。


環境省は、

「21世紀半ばには、西日本全体がマラリアの流行危険地域
に入る可能性がある」

と言っています。

マラリアを媒介する蚊が越冬し、繁殖する可能性があるから
です。


また熱帯病の一種で、デングウイルスが原因で発熱や出血など
を引き起こすデング熱も、温暖化が進むと日本に上陸する可能
性が指摘されています。

コレラ菌、サルモネラ菌、病原性大腸菌O-157などの食中毒
菌も、温度上昇で増殖力が高まる恐れがあります。




◆日本でも熱中症が増加



東京都内では、80年代の半ばに熱中症で病院に運ばれた
患者が月に100人余りでしたが、90年代末になると
300人を超えるようになりました。

2001年7月は、東京都内では538人が熱中症で病院に
運ばれました。

同月の都内の真夏日は27日、平均気温が26度を超えた
日は26日ありました。

34度を超すと1度上がるだけで熱中症が数倍に増えると
言われており、猛暑の年は、十分な注意が必要です。


ちなみに、環境省の試算では、都心で車の交通量が現在より
30%増え、建物からの排熱も同様に50%増えると昼過ぎ
の気温は最大で1度高くなります。

一方、屋上面積の50%を緑化したり、低公害車が普及して
車からの排熱が20%減ると、最大0.7度下がるということ
です。


なお、日本気象協会が「熱中症予防情報」を発表していますので、
ぜひご覧ください。

熱中症予防情報


また、7月11日から環境省でも「熱中症予防情報」発表しています。


環境省の熱中症予防情報



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